シリーズE|経営者のための決算書の読み方 #8
年に一度、税理士から決算書を渡されたとき、どこから見ればよいかわからず「ありがとうございます」で終わってしまう——そうした経験がある経営者は多いと思います。
このシリーズの最終回として、決算書を受け取ったときに経営者が最初に確認すべきポイントをまとめます。
まず確認する5つのポイント
ポイント1:営業利益はプラスか(損益計算書)
本業で利益が出ているかどうかの基本確認です。売上が大きくても営業利益がマイナスなら、本業のコスト構造に問題があります。前年と比較して改善・悪化のどちらに向いているかも確認します。
ポイント2:当期純利益はどうか(損益計算書)
最終的な利益が出ているかを確認します。営業利益はプラスでも、特別損失や税負担により純利益がマイナスになることがあります。
ポイント3:純資産はプラスか(貸借対照表)
債務超過(純資産マイナス)になっていないかを確認します。純資産がプラスであれば、基本的な財務の安全性はあると言えます。前年より増えているか減っているかも見ます。
ポイント4:現金・預金の水準(貸借対照表)
手元の現金がどの程度あるかを確認します。月商の1〜2か月分が最低限の目安とされています。前年比で減っていれば、資金繰りに注意が必要です。
ポイント5:借入金の水準(貸借対照表)
短期・長期の借入金合計を確認します。売上高や純資産と比較して過大でないかを見ます。借入が増えている場合は、その理由(設備投資か・運転資金か)を税理士に確認します。
税理士に聞くべき3つの質問
決算書を受け取ったら、以下の3点を税理士に確認することをお勧めします。
「今期の数字で特に気になる点はありますか?」
「前期と比較して改善・悪化したのはどこですか?」
「来期に向けて気をつけるべきことはありますか?」
こうした質問ができるようになること自体が、決算書読解力の向上を示します。
決算書は「年に一度のもの」ではない
決算書は年度末に作成されますが、経営判断には月次の試算表(月次決算)を活用することが重要です。毎月の売上・費用・利益を確認する習慣をつけることで、問題の早期発見と対処が可能になります。
税理士に月次試算表を出してもらっている場合は、毎月同じ5つのポイントを確認することから始めましょう。
シリーズのまとめ
このシリーズでは、決算書を読む必要性から始まり、財務三表の役割・損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書・黒字倒産の仕組みまでを解説しました。
決算書読解は一度で完璧に習得するものではありません。決算のたびに同じポイントを確認し続けることで、自社の数字に対する解像度が上がっていきます。
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