シリーズE|経営者のための決算書の読み方 #6
「利益が出ているのに会社が倒産する」——これを「黒字倒産」といいます。経営者の直感に反するこの現象は、利益と現金の違いを理解することで説明できます。
この記事では、黒字倒産が起きる仕組みをわかりやすく整理します。
利益と現金はなぜズレるのか
損益計算書上の「利益」と、実際の「現金」は別物です。このズレが黒字倒産を引き起こします。
利益は「売上が発生した時点」で計上されますが、現金は「実際に入金された時点」で増えます。つまり、売上を計上していても、代金がまだ入金されていなければ現金はありません。
黒字倒産が起きる典型的なシナリオ
シナリオ1:売掛金の回収遅れ
取引先への販売は完了し、損益計算書上では利益が出ています。しかし、支払いサイト(代金の回収までの期間)が長い場合、現金が入ってくるのは数か月後です。
この間に仕入れ代金・人件費・家賃などの支払いが重なると、利益は出ているのに現金が足りないという状態が起きます。
シナリオ2:急激な売上拡大
売上が急増すると、仕入れ・人件費・設備投資などの先行支出も増えます。利益は伸びていても、回収より支払いが先行するため、現金が不足する局面が生じます。
成長期の会社が資金繰りに苦しむのは、このパターンが多いです。
シナリオ3:在庫の積み増し
大量仕入れにより在庫が増えると、その分現金が在庫に変換されます。損益計算書では費用計上のタイミングが異なるため、利益は出ていても現金が減っていることがあります。
キャッシュフロー計算書が必要な理由
こうした「利益と現金のズレ」を把握するために、キャッシュフロー計算書(C/F)が存在します。
キャッシュフロー計算書は、実際の現金の動きを「営業活動・投資活動・財務活動」の3区分で示します。損益計算書で利益が出ていても、営業活動のキャッシュフローがマイナスであれば、本業でお金が流出していることを意味します。
経営者が注目すべきポイント
日常的な経営では、次の指標を確認しておくことが重要です。
売掛金の回収サイクル——長くなっていないか
手元現金の水準——最低でも月商の1〜2か月分が目安
営業キャッシュフロー——本業でお金が生まれているか
まとめ
黒字倒産は、利益と現金の流れが一致しないために起きます。売掛金の回収遅れ・急成長による先行支出・在庫積み増しなどが主な原因です。
損益計算書だけでなく、現金の動きを示すキャッシュフロー計算書を合わせて確認することが、倒産リスクを防ぐ基本です。
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