三軒茶屋を歩いていると、新しい店がオープンする一方で、長年営業していた店が閉まっているのを目にすることがあります。
実際のところ、世田谷区の飲食店や個人店は増えているのでしょうか、それとも減っているのでしょうか。
この記事では、公的な統計データをもとに、世田谷区の地域経済の実態を整理します。
世田谷区の事業所数:全体は横ばいだが業種間で明暗
令和3年(2021年)の経済センサス活動調査によると、世田谷区の民営事業所数は約2万7,500事業所。東京都全体の約4%を占めています。
全体の事業所数は横ばい傾向が続いていますが、業種によって状況は大きく異なります。
世田谷区が公表している産業データによると、飲食サービス業と卸売・小売業は事業所数が大きく減少している一方、
医療・福祉、情報通信業、教育・学習支援業は増加傾向にあります。
かつて区内の雇用と消費を支えてきた「飲食・小売」という二大業種が、構造的に縮小しているという状況です。
三軒茶屋は区内で最も事業所密度が高いエリア
同じ経済センサスのデータによると、世田谷区内の町名別で1km²あたりの事業所数が最も多いのは三軒茶屋(1,799.2事業所)です。
北沢、玉川と続きますが、三軒茶屋の密度は区内トップです。
また、従業者数では太子堂(三軒茶屋を含む地区)が14,400人と区内2位に位置しており、商業集積地としての規模の大きさが数字にも表れています。
一方で、エリアガイドなどの情報を見ると、三軒茶屋の繁華街には「道路幅が狭く老朽化した店舗が多い」という指摘もあり、
建物の老朽化と再開発の流れが今後の店舗構成に影響を与える可能性があります。
飲食店の廃業率——全国データで見る厳しい現実
三軒茶屋に限らず、個人経営の飲食店を取り巻く環境は全国的に厳しい状況が続いています。
日本政策金融公庫の調査によると、2006年に開業した飲食・宿泊業のうち、5年以内に廃業した割合は23.2%で、全業種平均(15.2%)を大きく上回っています。また宿泊業・飲食サービス業の80.9%は個人経営であり、小規模であるがゆえに経営が不安定になりやすい構造があります。
さらに、飲食店経営者の60%以上が60歳以上であり、後継者がいないまま廃業する「黒字廃業」のケースも増えています。利益が出ていても、高齢化と後継者不在によって店を畳まざるを得ない個人店が各地で増えているのが現状です。
三軒茶屋で店が消える主な理由
統計データと地域の状況を重ね合わせると、三軒茶屋エリアで個人店が撤退する背景には、主に以下の要因が考えられます。
① 家賃・コストの上昇
渋谷に近い立地から、三軒茶屋の商業地としての家賃水準は高めです。物価高・人件費上昇が続く中、利益率の低い個人店では固定費の圧力が増しています。
② 経営者の高齢化と後継者不足
長年営業してきた個人店のオーナーが高齢になり、後を継ぐ人がいないまま閉店するケースは三軒茶屋でも見られます。これは全国的な傾向と一致しています。
③ 建物の老朽化と再開発
三軒茶屋の繁華街には老朽化した低層建物が多く、建て替えや再開発による立ち退きが発生するケースもあります。長年の常連客を持つ店が、物件側の事情で閉店せざるを得ないケースも存在します。
一方で、新規開業も続いている
廃業が増える一方で、三軒茶屋への新規出店も継続しています。食べログの評価上位店には、タコス・インド料理・かき氷など多様なジャンルの店が並んでおり、個性的な専門店が新たに根を張るケースも少なくありません。
「住みたい街」として人気が高く、若い世代の流入が続く三軒茶屋は、新規出店の需要が維持されやすいエリアです。消えていく店がある一方で、入れ替わりながら新しい店が参入し続けているというのが、現在の三軒茶屋の実態と言えます。
まとめ
世田谷区全体では飲食・小売業の事業所数は減少傾向にあります。三軒茶屋は区内でも事業所密度が最も高いエリアですが、家賃・コスト上昇、経営者の高齢化、建物老朽化という3つの要因によって、個人店の撤退が続いています。
ただし新規開業も続いており、街の店舗構成は変化しながら更新されています。「減っている」という単純な話ではなく、業種・業態・規模によって状況が異なるというのが正確な見方です。
※本記事のデータは令和3年経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)および世田谷区公表資料をもとにしています。
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